2023年3月、Cedar Harbor Lineはメインの船体のエンジンをハイブリッド仕様に換装しました。費用の約40%はワシントン州の海洋環境保全基金からの助成金で賄い、残りは自己資金です。換装から3年が経ち、数字だけでなく、乗客の体験にも変化が出ています。
なぜハイブリッドを選んだか ¶
完全電動化も検討しましたが、サンファン諸島への日帰り便は往復で約9時間の航行時間があります。現在の電池技術では、充電インフラが整っていない島々を経由する長距離航路には対応できません。ハイブリッドは、港内や海洋保護区内での低速走行時に電動モードを使い、外洋での高速走行時にディーゼルに切り替える折衷案です。
燃料消費の変化 ¶
換装前の年間燃料消費量と比較すると、2025年は28%の削減となりました。当初目標の30%には届いていませんが、これは乗客数の増加による積載重量の増加が主な原因です。電動モードを使う時間が長い冬季は削減率が高く、夏季は乗客が多い分、削減率がやや低下します。
音と振動の変化 ¶
数字以上に変化が大きかったのは、船内の音環境です。電動モードで走行中、エンジンの振動がほぼなくなります。港内や海洋保護区内での低速走行時、乗客は水の音と鳥の声を直接聞けるようになりました。「エンジンがうるさくて聞こえなかった音が聞こえるようになった」という感想を複数のお客様からいただいています。
次のステップ ¶
2028年を目標に、イブニング便専用の小型艇(定員32名)を完全電動化する計画があります。イブニング便はピュージェット湾内のみの航行で、距離が短く、充電インフラの問題が小さいためです。現在、ベリンガムの造船所Salish Sea Marine Worksと仕様の検討を進めています。
ハイブリッド化は、環境への配慮と同時に、乗客の体験を変えました。静かな船は、静かな旅を作ります。